Complete text -- "警察庁長官は他を非難する前に自らの非を謝れ"
04 July
警察庁長官は他を非難する前に自らの非を謝れ
一昨年来検察・警察の目に余る不祥事が次々に暴露された。その中で「報償費」という名目の公金が、裏金として不正に流用される「慣例」が、全国的に蔓延していることが明らかになった。北海道警の場合を除いて、そのほとんどはうやむやの内に世間から忘れられていった。それをジャーナリストとして追求していたのが鳥越俊太郎キャスターであり、公的ポストにありながら、執念深くその不正をただそうとしていた唯一の人が、浅野・宮城県知事であった。知事は宮城県警察の捜査用報償費が適切に執行されていない疑いがあるとして、今年度予算の内、まだ支出されていない分の執行停止を県警に通知していた。これについて、警察庁の漆間巌長官は、6月30日、「言語道断」と強く浅野知事を批判した。
確かに警察の捜査には、公表できない「報償費」を払わなければならない必要性はあるだろう。しかし非公開をいいことに、それを私的に流用することが許されるはずはない。不正流用が全国各地に実在したことは、数々の動かし難い証拠によって裏付けられている。宮城県の場合も知事がその疑いを持ったからこそ、県警にその使途について説明を求めたのである。その知事の要求を県警は頑として拒み続けている。知事も情報提供者の身元まで明かせと要求しているのではないのだから、県警も自らやましいことがなければ、知事への報告・説明の方法については妥協の余地があるはずである。
一方仙台市民オンブズマンが、2000年度宮城県警の捜査報償費に不正支出があったとして、県警会計課長に県警本部が支出した1950万円を全額県へ返すよう求めていた。6月21日に出された仙台地裁の判決は、原告側の請求は棄却したものの、「(報償費支出の)相当部分に実態がなかったと推認する余地がある」と不正支出の疑いを指摘した。オンブズマン側は、「報償費の不正支出を正面から認めた画期的判決」として控訴しなかった。これによって判決は確定した。
このように裁判所までもが強い疑いを持っているのだから、県警の不正支出はあったと見るのが自然であろう。こういう全国警察にかけられている疑いを当然知っていながら、警察庁長官はそれについては言及も謝罪もすることなく、その不正をただそうとする知事を非難した。そんな資格が彼にあるのか。一体彼は、不正を正すという警察の役割をどう理解しているのか。不正への怒りを持たない人物が、不正をただすべき組織の長であることの空しさ。
昨年1月、窒素ラヂカル子が「検察・警察全体の犯罪は誰が摘発するのか」という文章で告発したように、検察にも警察にも腐敗が蔓延している。そして自らを浄化する意思も勇気も持たない人と組織に再生の期待は持てない。
22:41:05 |
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