Complete text -- "花便り(52)エゴノネコアシ、フトモモ科追加(ギンバイカ)"
01 July
花便り(52)エゴノネコアシ、フトモモ科追加(ギンバイカ)
エゴノキが沢山の実を実らせている(写真1)。その枝の先に奇妙なものがぶら下がっている。これがエゴノネコアシと呼ばれる虫こぶである(写真2)。
虫こぶは虫癭(ちゅうえい、ヤマイダレに嬰児のエイ)という難しい名で呼ばれることもある。
日本ではこれまでに569種の植物に1423種の昆虫が虫こぶを作ることが知られているそうである。立派な虫こぶ図鑑もあるという。
エゴノネコアシはエゴノネコアシアブラムシという昆虫が作るものである。猫の足を思わせる袋を開けてみると、中には2mmから0.5mmくらいのアブラムシの幼虫がうようよと動き回っていた(写真3。
マクロ撮影の限界で虫まできれいには撮れないが、外にはい出した虫も写っている)。この虫は間もなく袋の先に穴を開けて羽化し、イネ科のアシボソに移住。翌年またエゴノキに戻ってきて産卵するという。
どうしてこんな形の虫こぶが形成されるのか、インターネットで調べてみたがわからなかった。寄生した虫が植物細胞に働きかけた結果、異常分化・増殖して奇形化することは確からしい。推測するに、虫が植物細胞の中に、異常分化を起こさせるDNAを注入して、植物細胞のDNAに組み込み(遺伝子組み換え)、自分に都合のよい形に器官形成をさせるのだろう。植物と動物の驚くべき相互関係と、DNAレベルの分子機構が潜んでいそうである。
次は全く関係のない話。「花便り(49)フトモモ科3種」に、近所で見つけたギンバイカを追加する。
地中海沿岸から南西ヨーロッパ原産の常緑低木。ギリシャ・ローマ時代から栽培されていた。花弁は白色の梅の花のよう。他の花同様、長い雄しべが多数。葉に強い香りがある。写真を撮っていたら「挿し木してみますか」と一枝切ってくれたので早速試みているがうまく根付くかどうか。「聖母マリアの木」ということで買ったのだという。
幼子イエスを連れたヨセフとマリアがヘロデ王による幼児虐殺を避けるためにエジプトに逃げた時に、マリアが休憩した木だというマリアの木は別の木のようである。アダムが楽園を追放されたとき、神が3つの王を持って出ることを許したというのが、果物の王「ナツメヤシ」、食物の王「コムギ」、香料の王「ギンバイカ」という話がある。この方がギンバイカの香りからいって説得性がある。
15:07:30 |
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