Complete text -- "花便り(2)"

29 March

花便り(2)

 早春の花が次々咲いてゆく。マンサク(マンサク科マンサク属)は満開になった。近所で昨年末、満開になったトキワマンサク(白)を見た。本来4-5月に咲くものが年末に咲いて今はどうなっているのだろう。我が家のベニバナトキワマンサク(赤)も昨年末から少しずつ咲いていて、やがて満開を迎えそうである。
 
 同じマンサク科のトサミズキを前回紹介したが、その向かいの家にヒュウガミズキ(写真上)が咲いている。トサミズキが花序の長さが5cm前後、1花序の花数が7-10個なのに対して、ヒュウガミズキは花序がより短く、1花序に1-3個の花が付く。しかしまだ葉のない枝にびっしりと花が付いているのは見事である。丹後でシーボルトが発見したとされる。日向に多いわけでもないのに、なぜヒュウガの名が付いたのか? 丹後を治めた明智日向守光秀にあやかったのだともいう。非常に似た花にコウヤミズキ、キリシマミズキがある。

 写真中はサンシュユ(山茱萸)である。あちこちで満開になっている。長さ3mmほどの4花弁を持つ小さい花が、20-30個ほど集まった直径2-3cm位の散形花序を作る。これはミズキ科ミズキ属であって、同じミズキの名が付いてもマンサク科ではない。ミズキ科ミズキ属にはハナミズキ、ヤマボウシ、ミズキなどがある。近くの寺の境内に、ヒュウガミズキとサンシュユが並んで黄色を競っている。

 写真下はキブシである。民家の庭に植えられていることもあるが、近くの雑木林で何本か見かけた。まだ葉も花もない早春の林の中で咲いていると目立つが、春が深まり他の木の葉が茂ると埋もれてしまう特徴のない木である。昔女性がお歯黒に使った五倍子(ぶし)の代用にされたのでこの名があるという。また年配の方なら覚えておられるだろうが、灯明の灯心としてこの茎の芯を使った。キブシ科はヒマラヤから日本に分布する1属5-6種の小さな科である。
 
 それにしても早春の花木にはどうしてこんなに黄色い花が多いのだろう。花便り(1)と(2)は黄色い花ばかりになってしまった。この他にももう早くから咲いているオウバイ、ヒイラギナンテン、フサアカシア、ギンヨウアカシア、ぼちぼち咲き出したレンギョウやウンナンオウバイなど。クスノキ科のアオモジ、アブラチャン、ダンコウバイも3月から咲き始める黄色花である。


17:30:04 | archivelago | | TrackBacks
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