Complete text -- "春が来た"

08 March

春が来た

 予報に反して寒かった今年の冬であったが、ここ一両日すっかり春の日差しになった。冬の間寂しかった散歩道も、春の装いに変わりつつある。
 
 椿は樹種によって開花時期がかなり違うので、まだ蕾のものも多い。絞り系の多くははまだこれからである。昨日初めてジンチョウゲ(ジンチョウゲ科ジンチョウゲ属)が開いているのを見た。たった一輪でも香りは強烈である。昔の人が、沈香と丁字を併せ持つとして名付けたことが頷ける。
  沈丁の 香の強ければ 雨やらん 松本たかし
 
 アセビPieris japonicaはもう満開である。本来の白よりもむしろ赤系統の花が多い。アケボノアセビだろう(写真)。中にはとくに紅色が濃い’Chirstmas Cheer'と呼ばれる品種もある。馬酔木と書くように有毒植物である。鹿の多い奈良公園でアセビが多いのは、食べられないからである。
  隠れ家の 寂しき添うや 花馬酔木 碧梧桐
 
 ミモザの方が通りがよいフサアカシアAcacia dealbataも咲いていた(写真)。蕾はもう年末からかなり膨らんでいた。
 
 路傍では早くもタチツボスミレが咲いていた。
  春の野に すみれ摘みにと来し吾ぞ 野をなつかしみ 一夜寝にける 山部赤人
  赤人の すみれ摘みにし 野よいずこ 下村梅子
  菫程な 小さな人に 生まれたし 夏目漱石
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11:41:28 | archivelago | | TrackBacks
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