Complete text -- "花便り(124) 我が家の花(4)"

22 April

花便り(124) 我が家の花(4)

 花が咲いては散ってゆく。多くの花の命は短い。この季節、花好きには心躍る季節であると同時に、散りゆく花への哀惜の思いを強くする季節でもある。今日ボタンとモッコウバラが開花した。その写真はいずれここに載せるとして、今日は比較的じみな花を数点紹介する。

1.サクラソウ3種(サクラソウ科 Primula sieboldii
 サクラソウの収集家だった家内の友人のご主人が、数年前沢山の収集品を残して亡くなられて、その3種を頂いて育てているものである。06.4.19撮影。
今では自然界ではほとんど見られなくなって、絶滅危惧種2類に指定されている。江戸時代から多くの品種が作出されてきた。インターネットで埼玉県花と緑の振興センターで保存されている約300種の花の写真を見ることができる。
 「武蔵野」:表はほとんど白、裏が紫の比較的大輪種。
 「南京小桜」:紅紫色に白の縁取りのある魅力的な小輪が上向きに咲く。
 「銀孔雀」:ほとんど白。




2.ミツバアケビ(アケビ科アケビ属) Akebia trifoliata
 普通のアケビが5出複葉であるのに対し、本種は3出複葉である。雌雄同株。花は濃紅紫色。花序の先端には小さい雄花が10数個、基部側には大型の雌花が1〜3個つく。果実は長さ約10cmの液果で、熟すと自然に裂開する。果肉やあつい果皮は食べられる。我が家ではまだ結実したことがない。06.4.15撮影。


3.タマノカンアオイ(ウマノスズクサ科カンアオイ属) Asarum tamaense
 多摩丘陵で発見された。つややかな葉をかき分けてみると、半ば地に埋もれるように地味な花が咲いている。形の怪異さに似合わず、実に甘いいい匂いを持つ。06.4.19撮影。
 カンアオイ属の分布拡大速度は極端に遅く、1km広がるのに1万年もかかるという。我が家のものはもう20年ほど鉢植えだったものを地植えにしたが、鉢植えだった頃から株の大きさはほとんど変わっていない。タマノカンアオイの太平洋側東端は高尾山だとされている。カンアオイ類はギフチョウの食草として知られている。かつては多摩丘陵にもギフチョウが広く見られたらしい。
前にも書いたことだが、徳川家の葵の御紋は、同属のフタバアオイの葉をデザインしたものといわれる。



4.アジュガ(シソ科キランソウ属) Ajuga reptans
 草姿はジュウニヒトエに似、下部から地上を這う長いランナーを出す点ではツルカコソウに似ている。本種は花が密について華やかなので、ヨーロッパから中央アジアに分布する品種か、それから作出された園芸種と見られる。06.4.19撮影。


5.シロバナエニシダ(マメ科エニシダ属) Cytisus sp.
 手持ちの図鑑4種にはそのものズバリの記載がないが、どうみてもエニシダである。普通の黄色い花の咲くエニシダより花が小さい。冬の間からぼちぼち咲いていて、やはり今が盛りである。シロバナセッカエニシダという、茎が石化した変種があるが、その母種かと思われる。06.4.19撮影。

18:12:38 | archivelago | | TrackBacks
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