Complete text -- "花便り(40)マテバシイの花と結実への準備"
14 June
花便り(40)マテバシイの花と結実への準備
マテバシイ(ブナ科マテバシイ属 Lithocarpus edulis)は高さ15m、幹の直径60cmほどにもなる常緑高木。長さ20cm、幅7〜8cm、倒卵楕円形の厚い革質の葉を密に付ける。全体に重厚な感じを与える樹である。本来はサツマジイともいわれるように南九州が原産地とされるが、いまは各地に植栽されている。この6月が花の季節である。雌雄同株。新枝の葉のわきから数本の雄花序が斜めに伸びる。その頂上中央付近から、雌花序が1本だけ斜上する。花糸が見えず、粒々がいくつか付いているように見えるのが雌花序であって、目立たない。
受粉後16〜17ヶ月もかけて、つまり翌年の秋、いわゆる「椎の実」に成熟する。下の写真にある直径約7〜8mmほどの凹凸のある玉は、その実を包み込んだ「穀斗」である。その玉を割ってみると、中に長さ2mmほどの可愛らしい「ドングリ」が潜んでいる。これがこの時期から秋に向けてぐんぐん成長する。
ブナ科の植物にはクリ、アラカシ、シラカシのように、その年の秋に実が成熟するものと、マテバシイ属やシイ属のように翌年秋に成熟するものとある。リスやツキノワグマの餌も、こうした植物の目に見えない営みがあってこそのものである。
10:40:21 |
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