Complete text -- "検察は控訴を断念して改めて真相に迫れ"

31 March

検察は控訴を断念して改めて真相に迫れ

―日歯連のヤミ献金問題で「政治検察」の汚名を濯ぐとき―

 日歯連のヤミ献金問題に絡む3月30日の村岡裁判で、東京地裁は被告に無罪を言い渡すと同時に、検察に対する強い不満をにじませた。これは全く国民の見方に一致する。検察審査会も橋本元総理不起訴は不当としたのに、検察はそれをはねつけた。まさに時の政権に配慮した「政治検察」そのものである。

 それにしてもかつての同僚に無実の罪をおっかぶせたまま、のうのうと暮らしている橋本元総理は、どんな心境なのだろうか。判決は「橋本は政治資金規正法上の平成研の代表者であることに照らし、同法違反(不記載)の罪に問われる可能性は相当高い」とまで踏み込んだ。
1億円受け取りの席にいたとされる青木参院議員会長と野中元幹事長の、しれっとした記憶喪失にもあきれるほかはない。一体彼らは1億円を何に使ったのか。1億円もらっても覚えていないような政治家に、いくら献金しても無駄というものである。

 この問題には単に旧橋本派への闇献金にとどまらず、日歯連側が自民党の政治資金団体「国民政治協会」(国政協)をう回して国会議員に献金したとされる疑惑がある。日歯連は厚生労働関係を中心とした自民党議員にカネを配る一方、国政協に毎年4〜6億円に上る巨額の資金を寄付する方法を巧みに組み合わせていた。

 うち、国政協を通じたいわゆる“う回献金”に関しては、政治資金規正法違反容疑で有罪判決を受けた日歯連元幹部が、当時厚生労働政務官だった自民党衆院議員ら五人に計四千万円を献金したと供述。特捜部が捜査を進めたが、「議員への資金配分に国政協側の意思が働いている上、献金の趣旨があいまい」とされ、立件は見送られた。

 ただ国政協については、ゼネコン汚職やKSD事件など過去の大型汚職事件でも捜査の壁として浮上。そのたびに国政協が献金の“洗浄装置”になっているのでないかとの指摘が聞かれた。国政協を通じて特定議員に渡るカネは、「自民党の経理責任者が“ひもつき” 献金と認めない限り、贈収賄などの立件は難しい」(捜査関係者)のが実情である。
 判決は国政協の「不透明な献金処理」にも言及している。しかし06年10月に成立した改正規正法でも、迂回献金の禁止は見送られた。自民党にとってこの迂回献金ルートは欠かせない資金集め方法になっていると見える。政治資金の不透明性を正そうという動きが、政治の中から全く出てこないのも、救いがたさを感じさせる。小泉改革には政治資金改革は含まれないらしい。
 それにしても最近の検察には不信感を持たないわけに行かない。政治家の巨悪は見逃すが、反政府的活動家と見なされると、ビラ配りという微罪でも拘留・起訴にもってゆく。巨悪にこそ「秋霜烈日」であって欲しいもの。今度の判決を機会に、無駄な控訴は取りやめて、巨悪・真犯人の逮捕・起訴に注力してもらいたい。

22:36:25 | archivelago | | TrackBacks
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