Archive for 04 April 2006

04 April

ああ 民主党

―君たちはどういう党を作りたいのか―

 偽メール事件を巡る民主党の、色々な意味での余りの愚かさに、発言する気も失せていた。そして今、後継代表選びでも醜態をさらけ出している。どこまで落ちぶれたいのか。
 
大新聞は一斉に小沢への流れを憶測だけで流しているように見える。どんな調査をしてそういうのかは不明である。そこで報じられるのは、「自民党にとって小沢は最も手強い相手」「党内の小沢アレルギーをどう克服するか」「壊し屋の小沢でうまく行くのか」「小沢にとってこれが最後のチャンス」「誰を出した方が得か」などばかりで、小沢がどういう思想信条で党運営をやっていくのか、自民党との政策上の違いをどう打ち出すのか、については実に情報に乏しい。
国政選挙であれほどマニフェストの重要性を主張するのなら、自分たちの代表選挙でも当然ながら、自分の思想・信条・政策をひっさげて、何人かの候補者が競い合い、党員は自分に最も考えの近い人を選んで投票してこそ、国民にも開かれた公党と呼べるだろう。その点自民党党首選の方が、例えば小泉と亀井では国民の目から見ても違いがはっきりしていた。

もともと自由党を作った小沢は、自民党より右と見なされていたはずである。その考え方が変わったのか国民には全くわからない。それというのも昨年旧社会党出身の横路と小沢とが、安保政策などで話し合いをして完全に合意に達したと報じられた。その為だろうが、このグループはいち早く小沢支持を打ち出した。
それならそうと、どういう安保政策で党を運営するのか小沢は明確にマニフェストとして示すべきである。記者団に囲まれて意欲があるとかないとか、「禅問答」みたいなやりとりをするだけでは、国民は小沢民主党の姿を思い描く事ができない。
もう一人の有力候補菅も、なんら自分の考えを打ち出すことなく、風見鶏のように党内情勢を推し量っているようでは、実に古くさい党の体質といわれても仕方がないだろう。今日の朝日新聞夕刊によると、党も菅直人も話し合い一本化では密室談合といわれ、選挙決着となればしこりが残るというジレンマにあるという。冗談じゃないといいたい。
自分が代表として一党を率いていくのであれば、当然党運営の基本政策を持っているはずである。それを堂々と党員および国民に訴えて、代表に選ばれたら、党内に自分の考えを浸透させていき、いずれはバラバラの党内の考えを一本にまとめてゆく覚悟がなければならない。その覚悟がなくては代表になる資格がない。

前回前原が選ばれたときにも同じ事が起こった。前原が自民党より右寄りの安保・防衛政策を持っていることは、党員であるなら誰でも知っていたはずである。それなのに、ただイメージ上、若い前原がよいという判断で、前原に投じられた票がかなりあったに違いない。前原が代表就任後、自分の安保政策を党の政策にすると公言し、中国脅威論をぶちあげたとき、「こんなはずではなかった」と思った前原支持票も相当あったのでないか。筆者は前原路線には到底ついて行けないが、彼が党内議論を経た上で自分の考えを党の政策にすると主張していた覚悟だけは、高く評価したい。

国民から見ると、自民党と同じような政党がもう一つあっても何の意味もない。政権交代をするというのなら、はっきりと自民党とはここが違うという党の基本理念を打ち出すべきである。自民党が今後とも小泉流の新自由主義、市場原理主義路線を続けるのであれば、民主党はそれとの対立軸をはっきりと国民にわかる形で明示しなければならない。代表選はその為の絶好の機会である。その機会をむざむざ駆け引き、密室談合の場にしてしまうのは全く馬鹿げている。

落ちるところまで落ちた民主党のイメージをどう上げてゆくのか、熱情を持って国民に訴えてゆく政治家は民主党にはいないのか。どうしても政権交代がなければ政治の浄化・進歩はないと信じるが故に、その可能性を持つ唯一の政党としての民主党には、苦言を呈せざるを得ない。
          (2006.4.4)

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