Archive for 09 July 2005
09 July
花便り(59)アカネ科5種
アカネといっても現代ではどれ程の人が知っているだろうか。蔓性多年草で、根が赤黄色であることからアカネと呼ばれた。エジプトのミイラの纏布や、法隆寺裂(きれ)も、その赤はアカネで染められていた。牧野博士によると、押し葉にすると暗紫色になって新聞紙も染まるという。「あかねさす」は「日・昼・紫・東」にかかる枕詞。
あかねさす 紫野行き標野(しめの)行き
野守は見ずや君が袖振る (万葉集 額田王)
「あかね」は秋の季語。
茜掘 夕日の岡を 帰りけり (尾崎紅葉)
アカネ科は630属10400種もある大所帯。コーヒーノキもこの科である。日本だけでも少なくとも55種が知られている。ヤエムグラなど、ムグラと名の付く植物にはこの科に属するものが多い。日本では何といってもクチナシが最もありふれている。これについてはすでに「花便り(42)」で触れたので、今回はそれ以外のアカネ科植物5種の写真を示す。
1. コクチナシ(クチナシ属) Gardenia augusta var. radicans
クチナシと違って匍匐性。我が家のものは八重。自宅で05.7.6撮影。
2. ハクチョウゲ(ハクチョウゲ属) Serissa foetida
どこにでも見られる、高さ1mにも満たない低木。花も小さく人目を引くこともないが、むしろ斑入り葉の品種が、庭や墓の周り、あるいは生け垣としてよく植えられている。05.5.19撮影。
3. アラゲカエンソウ(カエンソウ属) Manettia luteorubra
南米原産の蔓性植物。行灯作りの鉢物として温室栽培される。04.12.6撮影。
4. ペンタス Pentas lanceolata
イエメンから東アフリカ原産。多くの園芸品種がある。花色は紅、桃、青紫、白など。整った星形の花で散房花序をつくる。寒地では温室栽培。04.10.21撮影。
5. ヘクソカズラ Paederia scandens
全体に悪臭があるために可哀想な名前が付いた。しかし早乙女花という別名も持つ。東アジアに広く分布。丁度今頃花をつけている。手入れの悪い垣根によく見られる。04.7.9撮影。
22:11:31 |
archivelago |
|
TrackBacks