Archive for July 2005

24 July

花便り(70)ツリフネソウ科

 2属しかないが850種に分化している。とくに熱帯産のツリフネソウ属の数種は園芸的に極めて重要である。

1. ホウセンカ(鳳仙花)(ツリフネソウ属) Impatiens balsamina
 インド、中国南部原産であるが、日本にはすでに江戸前期に導入されていた。花の構造はちょっと複雑。花弁が3枚(このうち左右にあるものは途中で2つに分かれ、4枚の花弁のように見える)、そしてその外側に3枚のやや色の薄い萼があり翼弁をなしている。それは後へ伸びて距になっている。女の子が赤い花を爪にこすりつけてマニキュアごっこをする。朔果は成熟するとはじけて種子を飛ばす。それで英名touch me not。
 韓国の歌にも鳳仙花が歌われ、島倉千代子の「鳳仙花」には「はじけて飛んだ花だけど、咲かせて欲しいの あなたの胸で」とある。沖縄民謡にも鳳仙花を歌った「てぃんさぐぬ花」がある。05.7.22撮影。


2. アフリカホウセンカ(インパチェンス)(ツリフネソウ属) Impatiens walleriana
 南アフリカ原産のインパチェンスから交配によって作出された品種群。恐らく栽培される頻度からいったら五指に入るのではないか。花色はバラエティに富む。05.7.10撮影。


3. ニューギニア・インパチェンス Impatiens × hawkeri
 パプア・ニューギニアで収集したImpatiens hawkeriを初めとする多くの原種から育成された園芸品種群の中で、アイオワ大学で育成された品種群。花は大きく、葉にもつやがあって中肋に淡黄色、淡緑色、赤などの斑がはいって美しい。05.7.20撮影。


4. キツリフネ Impatiens noli-tangere
 山地の湿り気のあるところに生える一年草。距を持った黄色の花が細い花柄の先につり下がる。05.6.22撮影。


 明日から中国五台山へ高山植物を見に行くので、一週間お休み。



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23 July

花便り(69)シソ科モナルダ属2種

 北アメリカに16種が分布する。日本で栽培されているのは恐らく3〜4種だろうが、名称に混乱がある。ベルガモットオレンジに似た香りを持つので、ハーブとしての名前はベルガモット。生の葉や花をお茶やサラダの付け合わせ、乾燥葉や花をポプリや入浴剤として利用する。

1. ヤグルマハッカ Monarda fistulosa
 こちらの方にタイマツバナ、そしてM. dydymaの名前を与えている本もあるし、wild bergamotと呼んでいるインターネット記事もある。ここでは山渓カラー名鑑に準拠する。草丈60〜100cm。花色は桃、白、藤色などがある。
 マルハナバチが大変好む。そのためBee-balmの別名がある。うどん粉病にかかり易いのが欠点。04.6.18と05.6.27自宅で撮影。



2. タイマツバナ(スカーレット・ベルガモット) Monarda didyma
 花色は赤が多いのでタイマツバナの名があるが、桃、紫紅、白もある。05.6.22撮影。


 この他M. punctate、M. dydyma 'Petite Delight'、M. citriodoraなどがあるらしいが、まだ見たことがない。

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22 July

花便り(68)スベリヒユ科4種

 世界で21属400種というから科としては小さい方だろう。事実、園芸品種も多くはない。一年草、二年草または亜低木で多汁質のものが多い。野草のスベリヒユも葉が厚く茎もみずみずしい。子供の頃、その弾力のある茎を曲げて、両瞼の上下につっぱるようにはめたあと、長く切った茎をそれに通してめがねだとして遊んだ。貝原益軒は酢みそで刺身(生食)にすると書いているそうだ。中国では摘んで食べるという。

1. ハナスベリヒユ(ポーチュラカ)(スベリヒユ属) Portulaca sp.
 草姿はスベリヒユに似ているが、花は2.5〜3cmほどもあってずっと大きい。花色も赤、黄、白、複色と多彩で、5弁の一重だけでなく八重もあり、広く栽培されている。一日花で日中だけ開花する。多くは種が出来ず、挿し芽で殖やす。04.11.4撮影。


2. マツバボタン(スベリヒユ属) Portulaca glandiflora
 ブラジル、アルゼンチン原産。日本では古くから花壇の縁取りなどに広く栽培されている。葉は名前の通り、松葉のように細い円柱形。赤、桃、橙、黄、白、紫紅色、絞りと色は豊富。一重、半八重、八重。一日花で陽が当たるときだけ開花するのが普通であったが、最近では曇天でも開花するよう改良が進んでいる。05.7.7撮影。


3. レウィシア Lewisia cotyledon
 ロッキー山脈添いに分布する多年草。やや多肉質の葉が放射状に叢生する。その中心から花茎を多数伸ばして花をつける。花便り36でも紹介したが今回別の写真を載せる。05.4.9撮影。


4. ハゼラン Talinum crassifolium
 熱帯アメリカ原産。花茎は30〜50cmに伸び、まばらに5弁紅色の小さな花をつける。この花は小さい上に散漫なので、どのように撮るかカメラマン泣かせ。葉の様子も取り込むためちょっと変わった撮り方をしたが、他の植物が写り込んできて煩わしい写真になった。05.7.20自宅で撮影。

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21 July

花便り(67)シソ科サルビア属13種

 シソ科には221属5600種もの種類があり、草本または低木である。植物全体に芳香があり、ハーブとして利用されるものが多い。その中でも花を観賞するため、あるいはハーブとして利用するために栽培されることの多いサルビア属を取り上げる。この属だけで900種以上もあるという。
 多くの青い花の下唇には二本の白い線がある。これは密標(honey guide)と呼ばれ、ハチを導くものという。ハナバチは先ず下唇に着陸して、奥にある密を吸いに潜り込む。赤い花にはそれがない。多くの昆虫は赤を識別できないという。しかしハチドリは赤い花を好んで密を吸いに来る。密は子供の好物でもある。
 日本名が付けられていないものも多いが、ハーブとしての名前がある場合にはそれを日本名として挙げておく。ただし同じ名前が複数の植物に与えられていることもあって混乱している。

1. スカーレット・セージ(サルビア) Salvia splendens
 いわゆるサルビアである。ブラジル原産。赤、白、紫、桃、赤白二色など多彩で、花壇の主役の一つである。05.7.7撮影。


2. トロピカル・セージ(サルビア・コクシネアあるいはコッキネア) Salvia coccinea
 中南米原産。初夏から秋まで真夏でも休まず咲く。赤、白、桃がある。05.6.13自宅で撮影。


3. チェリー・セージ(サルビア・ミクロフィラ) Salvia microphylla
 メキシコ、テキサス原産の赤花。次に述べるグレッギーと極めて類似していて、両者ともチェリー・セージと呼ばれている。写真を撮るときには植物体全体、花のアップ、葉の形などがわかるように数枚撮っておかないと写真だけでは区別が困難。
 ミクロフィラの方が葉が大きめ(5cm以下)で、僅かに毛があってざらざらした感じ。小さな鋸歯があり、長卵形。花冠内の基部付近に一対の突起物がある。グレッギーは葉が3cm以下で小さめ、すべすべで全縁。前者より長めの卵形、楕円形、倒卵形。04.11.10撮影。


4. チェリーセージ(サルビア・グレッギー) Salvia greggi
 メキシコ・テキサス原産の赤花。上記参照。05.5.4撮影。


5. パイナップル・セージ(サルビア・エレガンス) Salvia elegans
 メキシコ原産。秋に深紅、細身のエレガントな花を咲かせる。株立ちで咲き揃うと見事である。冬戸外では地上部が枯れるが、春また新芽を出す。ハチドリが好むという。04.11.11撮影。 


6. アメジスト・セージ(メキシカン・セージ) Salvia leucantha
 メキシコ、熱帯アメリカ原産。葉は長さ12cm程度、細長く先が尖る。花穂には6〜8の唇形花が輪状に並ぶ。ピンクないし紫色の萼片と白の花冠の対照が美しい。04.10.11撮影。


7. サルビア・インヴォルクラタ Salvia involucrata
メキシコ原産。高さ1.5mにもなる。赤くふっくらした花筒を持つ。04.12.26撮影。


8. サルビア・ガラニティカ Salvia guaranitica
 中南米原産。上あごの長い蛇が、口を開けて舌を出している姿に似ている。濃紺色の花の寿命は短く、ほとんど黒色の萼を残してすぐ落ちるが、腋枝が伸びて次々に咲く。メドー・セージで流通していることも多いが、この名は次のSalvia pratensisに与えられた名であって、ガラニティカには使うべきでない。05.6.3自宅で撮影。


9. ラベンダー・セージ Salvia lavandulifolia
 花弁も萼も濃紺。上唇に比べて下唇が大きく幅広く、密標がある。耐寒性も耐暑性もある。05.6.11撮影。


10 メドーセージ Salvia pratensis
 ヨーロッパ原産の多年草。耐寒性があり防寒する必要がない。草丈約70cm。下唇より上唇の方が大きく、guaraniticaに比べ上唇の湾曲が大きい。05.7.19撮影。


11. ボッグ・セージ(サルビア・ウリギノーサ) Salvia uliginosa
 南米原産。学名もボッグも沼地を意味する。ライトブルーの花が夏から秋にかけて咲く。上唇より密標のある下唇が大きく幅も広い。冬地上部は枯れるので根元まで切り戻す。05.7.13撮影。


12. ブルーサルビア (Mealy sage) Salvia farinacea
 テキサス、メキシコ原産。10〜16の唇形花が輪状に並んだ花穂を作る。花色が異なるいくつかの品種がある。耐寒性も耐暑性も比較的あり、11月頃まで長く咲き続ける。05.6.8撮影。


13. ソライロサルビア(ゲンティアン・セージ) Salvia patens
 メキシコ原産。一枝に2〜5輪しか咲かないが、青色の4cmほどもある大きな花を咲かせる。05.6.14撮影。

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20 July

大乱こそ望むところ

 参議院での郵政民営化法案がどうなるかが注目されている。小泉首相は来日したパウエル前国務長官に、「法案が否決されたら政界は大混乱になる」と伝えたという。それに先立ち、片山参院自民党幹事長は講演で、「法案が否決されたら首相は間違いなく衆院を解散するだろう。もしそうなったら自民党は分裂選挙になり、野党が漁夫の利を得て自民党は間違いなく野党に転落する」と述べた。法案に反対する議員を牽制したものである。
 民営化法案が成立する方がよいかどうかは別にして、自民党が大混乱するのは大歓迎である。この機会にガラガラポンと、民主党を含めた大再編が起こることが国民にとって最も望ましいことである。自民党も民主党も多少カラーと比率の違いはあっても、どちらも大きく考えの違う人達の混成チームである。国民としては選択に困る。
 この際、1)官・業・労・宗教何れともしがらみがない、2)国民あるいは自治体住民に奉仕できる、3)米国べったりでなく、隣国とも友好関係を結べる、偏狭なナショナリズムとは無縁な、4)リベラルで、世界平和の為の労を惜しまない、そういう人達が大同団結して一党をつくる。自民党にも少数ながらそういう人はいる。党首には若くても年配者でもよいからカリスマ性のある人がなる。
 そういう党が出来たら国民の人気が出ると思うけどなあ。これはやはり夢物語か。後半月もすれば大乱が起こるかどうか決着が付く。その後しばしの夢が見られるかも。
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