Complete text -- "花便り(65)ヤマユリ"

18 July

花便り(65)ヤマユリ

 今年も我が家のヤマユリが見事に咲いた。ユリの帝王の名にふさわしい。2m程もある親株には11個の花、子株に2個。11個咲き揃った翌日には、最初に咲いた花から急にしおれだした。ヤマユリの花が開くのは夜。朝にはもうぱっちりと開いているので、開く過程を見たことがない。開いているのは約1週間、その間6本の雄しべの色と形は毎日変わって行くので、雄しべを見れば開いて何日目くらいか見当が付く。花の豪華さと共に、その香りは強烈。家に近づく時、朝雨戸を開ける時、その香りに「あ、ヤマユリか」と気づかされる。
 神奈川県の県花であるが、自生地は激減している。明治6年、オーストリア万博に出展され、その豪華さはヨーロッパの人の度肝を抜いた。驚いたのはいいが、球根の大量輸出が始まり、その量は大正元年には2千万球に達したという。お陰で関東の人里からヤマユリはほとんど姿を消した。
 こうしてヤマユリを初めとする日本のユリを交配親として、膨大な品種が作り出された。これらをジャパニーズハイブリッドまたはオリエンタルハイブリッドと呼ぶ。カサブランカ、アカプルコ、ソルボンヌなどなど。
 最後に駄作数句。
  山百合の かほり流れて 居待ち月
  雨搏ちて 山百合こうべ 垂れにけり
  山百合の 香に迎えられ 我が家かな
 7月13日撮影
 7月18日撮影
22:56:21 | archivelago | | TrackBacks
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