Complete text -- "時価総額の虚実"
14 October
時価総額の虚実
今、村上ファンド、楽天の派手な株買い占めが世間を騒がせている。ここで公開企業の「時価総額」が大きくものをいいそうである。楽天はTBSの株式の15%強を取得し、TBSに対し持株会社の設立を提案した。新たに設立する持株会社に楽天とTBSがぶら下がる形である。これはいかにも敵対的買収とは違うように見えるが、時価総額を比較したとき、楽天が1兆円余り、TBSが7千億円余りというから、持株会社の出資比率は約10:7になるという。これでは実質楽天が支配する持株会社である。つまり買収と実質変わりがない。
楽天の時価総額が1兆円というのも驚きである。今12月期の予想連結売り上げ僅か900億円、経常利益が210億円の会社の価値が、例えば超優良会社で、売り上げ6900億円、経常利益690億円のTDKに匹敵するというのである。似たようなIT企業ヤフーの時価総額に至っては、ランキング15位で、約3.7兆円。ソニーの3.8兆円に迫り、新日鐵の2.8兆円、日立の2.4兆円を遙かに上回っている。
一体こんな評価が正しいのか。答えは市場が決めたのだから正しいということになるのだろうが、何か腑に落ちないものがある。こんな虚か実かわからないような数字で、会社が買ったり買われたり、企業の支配権が移動したり、また社員の運命が決まったり、市場原理主義とは、何といい加減なものかという気もする。
実は買われる側のTBSの時価総額は、数ヶ月前は僅か2〜3千億円だったというから、市場評価もその時次第だということでもある。企業価値が急に変わったはずはないから、市場が常に正しく評価していないことの裏返しでもある。まさにマネーゲームといわれるゆえんでもあろう。
23:42:00 |
archivelago |
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