Archive for August 2005

31 August

小泉「すり替えマジック」の数々

 このタイトルでここ一両日以内に「窒素ラヂカルの正論・暴論」に所見をのせるので、是非読んで頂きたい。副題は「目を見開いてマジックを見破ろう」となっている。

 今日新しいデスクトップパソコンが我が家にやってきた。今使っているノートパソコンがもう満杯に近い。今度のは250GBのHDD搭載なので、画像が少々増えても大丈夫である。最初に買ったパソコンが100MB HDDであったことを考えると隔世の感がある。

 
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03 August

一週間の小旅行でかいま見た中国

 今回の旅行は「花の五台山4連泊の旅7日間」というのだった。7月30日、山西省の省都、太源に泊まる予定の我々は、突然ホテル替えをさせられた。一段下のランクのホテルへである。臨時の共産党大会が開かれるため、最上級のホテルのいくつかが幹部の宿泊に当てられるからだという。中には十数キロも離れたホテルへ移らされた人もいたという。
 なぜ急に大会が開かれるのかの説明はなかったし、中国語のわからない我々はテレビで情報を得ることも出来なかった。帰国後日本で報道されたか新聞を見、インターネットを調べてみたが、報道された形跡は全くなかった。
 党大会など随分前から計画されているはずではないかと聞いてみたが、「いや、本当に急に決まったことだ」とのことであった。外国人の旅行者まで追い出して臨時大会を開くについては、よほど差し迫った重大な理由があるように思うが、真相はどうだったのだろう。幹部の安全のため、中国ではその動向は報道されないともいう。太源へ向かう高速道路を走る我々のバスを、中国政府要人などがよく乗る国産高級乗用車「紅旗」が何台も追い越していったが、関係があるのかどうか?

 五台山は知る人ぞ知る、中国4大仏教聖地の一つである。周囲200kmの広大な山地に、かつては300を超える寺が建立されたといわれる。古く唐の時代から日本の僧侶が何人も修行に来ている。838年入唐した円仁の「遠く台頂を望めば、円く高くして樹木を見ず」(入唐求法巡礼行記)の記述通り、3000m前後の台状の山が五つあるので五台山という。五つの山しかないということではなく、山また山の連なった巨大な山塊といった方がいい。黄河以北の最高峰といわれるだけに、冬の寒さは厳しく、零下40度にもなるという。
 それらの山に囲まれた、標高千メートルあまりの台懐鎮という所に多くの寺院や宿泊施設が集中している。ここを起点としていまはすべての台頂まで、工事中でなければ小型バスで行くことが出来るので、登りの苦労はない。頂上付近には樹はなく、ゆったりと草原が拡がり、のんびりと少数の牛が放牧されている。
 台頂には必ず寺があり、そこからは山々が折り重なる、360度の雄大な景色を眺めることが出来る。阿蘇の草千里あたりの景色を何倍にもしたといったら想像できるだろうか。そして夏の今は、足元に数々の高山植物が咲き乱れている。今回のツアーの名前からわかるように、この花を愛で、写真に撮るのが最大の目的であった。
 仏教聖地としてみたときの五台山の諸寺は、建物は古くてもそこにある仏像はすべて新しく、けばけばしい色に塗られた近代顔で有り難みに乏しい。度重なる廃仏毀釈と文化大革命で、ほとんどの古い仏像は破壊されたものと思われる。しかし中国の若者も、その仏像に対して五体投地に近い礼拝を行っていたのは意外であった。

 花の写真は別の機会にして、ここでの印象をさらに綴る。台頂の寺にも台懐鎮の諸寺にも、かならず乞食がいた。本来「乞食(こつじき)」は仏教の修行形態の一つであろうが、ここでみる乞食はそんな感じではなく、本当に無一物、最貧層の人々のように見えた。大都会の巨大なビル群や、乗用車を乗り回す富裕層に象徴される発展中国の別の一面がここに見られる。
 正式に発表されているだけでも、中国では毎日1件平均の暴動やデモが起こっている。その多くは不正な土地収用に絡むものといわれる。裏には共産党幹部の腐敗が必ず存在する。河北省で土地収用に反対している農民を、正体不明の集団が襲っている映像が日本でも放映されて衝撃をあたえたが、これらは決して例外的のものではないだろう。

 こんな民衆レベルの不満の蓄積は、政府にとっては最も恐ろしい問題であるはずである。今回の臨時共産党大会がこれらへの対策協議であったと見るのはうがちすぎだろうか。ホテル予約者の追い立てを平然と行なう中国共産党の体質そのものの改変こそが、最大・喫緊の課題ではないのか。農民への奉仕を目標にしたはずの共産党の、特権階級化した堕落こそがすべての問題の根本にある。反日暴力デモを黙認したことも、国内的な不満を外へ向けさせる意図があったに違いない。
 
 今回の旅行では、予定にあった北台、西台、および中国最古、唐代の木造建築のある仏光寺へは、「道路工事」を理由に行くことが出来なかった。完全に交通を遮断して工事を行う中国流には驚く他はない。旅行者のみならず、その地で生活している人も多大の迷惑を受けているはずであるが、工事の効率だけを考えて、生活者の便宜などは二の次という中国流には、その政治体質がよく表れているように見える。何しろ三峡ダムの建設で百万人単位の立ち退きを強行する国なのだから。
 
 山西省は石炭の一大産地である。石炭を満載したトラックやトレーラーが頻繁に行き来している。旅の途中、そのトレーラーが横転している事故に2回遭遇した。その内の1件では大渋滞が引き起こされた。たまたまその近くにバイパスみたいな道があって、それを使ってのろのろながら車列は動き出した。そこへ後ろから乗用車が空いている対向車線に次々に乗り込んできた。当然対向車列はそれに阻まれて動きが取れなくなる。そのため我々の車列も動けない。
 こんな単純な理屈がわからないわけではなかろうに、自分のことしか考えないこれら中国人の利己主義にはあきれてしまう。自分で自分の首を絞めている。これが国民性であるなら、政治の堕落と相俟っていつか中国の行き詰まり、崩壊を招かないともいいきれない。
 
 たった一週間で何がわかるといわれそうだが、これが12回目の中国旅行なので、その度になにがしかの感触はつかんでいる積もりである。日本のメディアは、もう少しこの巨大な国の政治動向に細かく目を配って、裏も表も報道する姿勢が必要なのではないか。発展する一面だけを見ていると、いつか「えっ!」と驚く事になりかねない。
 
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