Archive for March 2006

31 March

花便り(120)我が家の花(2)

 世は花の季節となり、我が家でもほとんど毎日何かが花開く。昨日はは利休梅(ウメザキウツギ)が数輪開いていた。今日はハナカイドウが開花した。咲いた中から8点を紹介する。

1. キンギアナム(ピンク)とスペシオキンギアナム(白)
 珍しくもないデンドロビュームの仲間である。今年はそれぞれ大鉢に200個以上の花をつけた。株分けしたものを今年も2軒に養子に出した。部屋に陽が当たってくると、馥郁たる香りが部屋を満たす。



2. プリムラ・ポリアンサ ‘ゴールド レース’(サクラソウ科サクラソウ属)
 広く栽培されているプリムラ・ポリアンサ自身が複雑な交配で作出された園芸種であるが、このゴールド・レースを見ると、ここまで変身するのかと感心させられる。自然界にはないチョコレート色の花弁を、金色のレースで縁取りしている。しかも花弁が10枚あるように見えるが、実は1枚の花弁が軍配型をしていて、その中央に金色の線が入っているので10枚に見える。花弁の裏には金線がないのでよくわかる。この冬も何とか屋外で寒さに耐えた。


3. レンテンローズ(キンポウゲ科クリスマスローズ属)Helleborus orientalis
 ほとんどクリスマスローズとして扱われているもので、珍しくもない。クリスマスローズ(H. niger)との混同については昨年も述べたので繰り返さない。


4. ヒゴスミレ Viola chaerophyloides
 およそスミレとは思えない、深く切れ込んだ葉が特徴。エイザンスミレの葉と似ているが、それより更に細かく切れ込んでいる。分類学的には色々議論があったらしい。こぼれ種でいくらでも増えてゆく。


5. ヒメツルニチニチソウ(キョウチクトウ科ビンカ属) Vinca minor
 広く普及しているツルニチニチソウ Vinca major と花も葉も似ているが、一回り小さく、煩わしいほどには茂らない。開花時期はほとんど同じである。


6. ヒマラヤユキノシタ(ユキノシタ科ヒマラヤユキノシタ属) Bergenia stracheyi
 これもよく作られている品種である。花が開いた後、花茎が伸びてゆく。


7. ツバキ‘紅葉狩’
 八重ツバキの1種。内側の花弁ほど小さく包み込まれていて、その中のシベが欠如している。

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27 March

花便り(119)ミツマタ2種その他

 昨年の年末は特に寒かったため、サクラの花芽の休眠打破が進み、例年より開花が早まっている。もうソメイヨシノの花も5分咲き程度。我が家の庭では紅白のハナモモが一昨日から開き始めた。ユキヤナギとボケは今が盛り、ユスラウメは5分咲き、アカバナトキワマンサクが開花始め。このところ毎日ウグイスが美声を聞かせてくれる。

1.ミツマタ2種(ジンチョウゲ科ミツマタ属) Edgeworthia
 本年枝は必ず三つ叉に出る。古くからその皮を和紙の原料にしてきた。明治以来紙幣の原料にされている。普通のミツマタの花は黄色であるが、アカバナミツマタという園芸種がある。



2.レンギョウ(モクセイ科レンギョウ属) Forsythia
 日本に自生するレンギョウはヤマトレンギョウとショウドシマレンギョウの2種。レンギョウとシナレンギョウは中国原産。チョウセンレンギョウは朝鮮原産。互いによく似ているのでよほど注意しないと区別ができない。近所での観察によるとレンギョウは少なく、シナレンギョウがほとんどのように見える。
       

3.トサミズキ(マンサク科トサミズキ属) Corylopsis spicata
 トサミズキ属は日本からヒマラヤ東部にかけて20数種が知られ、日本にはトサミズキ、コウヤミズキ、キリシマミズキ、ヒュウガミズキの4種が自生する。
 トサミズキは3〜4月、葉が展開する前に開花する。前年枝の葉腋から垂れ下がった穂状花序に黄色の花が7〜10個つく。庭園によく植えられているヒュウガミズキが1〜3個しか花をつけないのに比べて花序が最も長い。
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4.フッキソウ(ツゲ科フッキソウ属) Pachysandra terminalis
名前は常緑の葉がよく茂る様を繁栄に結びつけた「富貴草」に由来。草といっても高さ30cmにも満たない亜低木。庭園のカバープラントとしてよく利用される。花には花弁がなく、穂状の花序は中央より上が雄花、下が雌花。


5.シキミ(シキミ科シキミ属) Illicium anisatum
シキミ科にはシキミ属1属しかない。3〜4月葉腋に直径2〜3cmの黄白色の花をつける。全体が有毒で特に果実は猛毒。シキミは「悪しき実」からきているという説もある。
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21 March

花便り(118)我が家の花

 彼岸に入り自然界は急に賑やかさを増してきた。我が家からの今年最初の花便り数点。

1.カトレア Slc. Love Excellence "HCN-12"
 昨年の世界ラン展で蕾付きの株を購入したが、急に環境が変わったせいか開かずに落蕾してがっかりさせた株である。今年は順調に5輪の花を咲かせている。SlcはSophronitis属、Laelia属、Cattleya属3種の属間交配種を示す。


2.カトレア 名前不詳
 ちょっと変わった咲き方で、上向きに咲く。だから唇弁を下に向けることなく、今回は2輪が向かい合ったように咲いている。花弁の先端にちょっぴり紅をさしているところが可愛らしい。
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3.シンビジューム アキバ・キャナリー
 シンビジュームで純黄色のものは珍しい。アキバ・キャナリーは古い品種で、育て始めてからもう30年近いが、毎年間違いなく咲いてくれる。


4.ツバキ 玉の浦
 いわゆる赤白の「絞り」は数多いが、玉の浦のように「覆輪」のものは多くない。昨年大島のツバキ祭りで買ってきた。


5.錦晃星(ベンケイソウ科)Echeveria pulvinate
 ツキトジのような葉の縁が赤くなって花よりも美しい。花は冬咲き。


4.源平丸?(マミラリア属)
 冬型サボテンの一種。冬中小さな花が次々に咲く。
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18 March

花便り(117) 早春の花たち

 花便りも長い間絶えてしまって、自分でも何番まで出したか忘れてしまうほどであった。しかし彼岸の声を聞く頃になると、花たちはそれぞれに定められた時期に従って、我が世の春を謳歌するようになる。もう梅の盛りは過ぎ、間もなく桃、そして桜の時期が来る。
 我が家でも幾つかの花が、彩りのなかった冬とは対照的に、庭にも部屋の中にも次々に咲いて華やぎをもたらしてくれる。いまこの原稿は、スペシオ・キンギアナムの香りの満ちた部屋で書いている。
 我が庭で最も早く花を見せたのは白のエニシダであった。今はジンチョウゲが香りを放ち、ヒマラヤユキノシタ、ボケ、ヒゴスミレが咲いている。部屋の中では種々のランが咲く。
 病後初めて2週間ほど前から軽い散歩に出かけられるようになった。足に装具をつけた不格好な姿ではあるが、歩けるだけでも有り難い。1時間ほどゆっくり歩く。恐らく病気になる前の半分くらいの速さであろう。それでも春の気配は気持ちを明るくさせてくれる。デジカメを使う上で杖は邪魔になるので、持たないことにした。
 久しぶりの花便りはそうして撮った早春の花たちである。

1.ウメにメジロ
 メジロは梅の密が大好きである。我が家の梅にもメジロやシジュウカラが訪れるが、すぐにヒヨドリに追い出される。ヒヨドリはまるでこの木を見張っているようである。写真は近くの梅林で撮ったもの。06.3.5


2.サンシュユ(ミズキ科ミズキ属)Cornus officinalis
葉が出る前に開花する。今満開である。この付近にはこの木は珍しくない。写真はお寺の境内にあるものである。直径2〜3cmの散形花序を出し、黄色の小さな花を樹いっぱいにつける。この花の付き方は、やはり早春に葉が展開する前に黄色の花を咲かせるクスノキ科クロモジ属のアブラチャンやダンコウバイにとてもよく似ている。しかし花の構造はかなり違う。06.3.12と 06.3.17
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3.ギンヨウアカシア(マメ科アカシア属)Acacia baileyana
 これも今満開である。フサアカシア(別名ミモザ)とよく似ているが、葉の形で区別できる。06.3.15


4.ヒイラギナンテン(メギ科ヒイラギナンテン属)Mahonia japonica
japonicaの名は付いているが、原産は中国〜ヒマラヤで、日本には17世紀渡来したと言われる。最近は花の豪華なマホニア・メディアやセイヨウヒイラギナンテンも栽培されている。06.3.5


5.クロッカス(アヤメ科クロッカス属)Crocus ancyrensis?
 クロッカスには春咲きが多いが、写真の花は寒咲きのancyrensisだと思われる。06.3.5

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