Archive for 22 August 2005

22 August

花便り(84)夏咲きマメ科の木本4種

マメ科の花は春咲きか、ハギ類のように秋咲きが多いが、花の少ない夏に咲くマメ科花木もある。

1. アンデスの乙女(カワラツメケイ属) Cassia corymbosa?
 ブラジル、アルゼンチンあたりに原産する夏咲きマメ科植物。昭和初期に渡来したとされる。この同属の植物の名には混乱がある。ある図鑑やインターネット上の情報では、アンデスの乙女はハナセンナの別名としてある。しかしアンデスの乙女はハナセンナとは別種で、小葉の長さが長いとする情報もある。実際写真を見ると、葉の長さが随分違うものが実在する。これには可能性が二つある。一つは両者は別種であるという可能性。もう一つは両者が同じであって、葉の短い方はコバノセンナ Cassia coluteoides Colladonであるという可能性である。
 ここで提供する写真のものは葉が長い。この情報の混乱で、上に示した学名がどの植物を指すのか不明である。何れも葉は偶数羽状である。花は通常のマメ科とは随分違って、5弁がほとんど平開する。
 この他モクセンナ Cassia glauca(熱帯アジア原産)という近縁種もある。こちらは奇数羽状だという。
05.8.20撮影。


2. デイコ(デイコ属) Erythrina variegata
 インド原産だが、沖縄や小笠原にも普及。沖縄の県花。夏咲きというには花期が早いのだが、次のアメリカデイコとの対照のためここに挙げた。
05.6.4撮影。


3. アメリカデイコ(カイコウズ)(デイコ属) Erythrina crista-galli
 ブラジル南東部からアルゼンチン北部の原産。江戸時代に渡来。鹿児島の県木。
 マメ科の蝶型花では、普通上に立っている花弁を旗弁、両側のものを翼弁、それに挟まった中央のものを竜骨弁という。アメリカデイコでは花柄が180度ねじれて旗弁を下にして咲く。翼弁は小さく萼に隠れて外からは見えない。
05.8.7撮影。


4. サンゴシトウ(珊瑚刺桐)(デイコ属) Erythrina × bidwilli
 アメリカデイコとE. herbaceaの交配種。19世紀にシドニー植物園で作出された。赤く密生する花から珊瑚、枝の刺、3小葉の広い葉から桐を連想した命名。挿し木で簡単に殖やせる。旗弁が完全に開かないので花は筒状のまま。
05.7.1撮影。

23:06:29 | archivelago | | TrackBacks