Archive for 08 July 2005

08 July

花便り(58)ケシ科11種

 ケシといえばアヘン、モルフィネの原料植物として、栽培は厳しく規制されているが、この科に属する植物は野草にも多いし、園芸植物としても多種類が栽培されている。多くが体内に汁液を含む。ケシと同属のヒナゲシのように、一見してわかる花以外に、これがケシ科?と思うようなものも多い。

1. ヒナゲシ(虞美人草)(ケシ属) Papaver rhoeas
 ヨーロッパ原産の、どこにでも見かける一年草。我が家ではほったらかしにしているが、次の年にはこぼれ種でちゃんと生えてくる。
 「力山を抜き 気は世をおおう 時利あらず騅(すい)ゆかず 
  騅ゆかずしていかにせん 虞や虞や汝をいかにせん」
 中学1年の時、東洋史の先生が教えてくれた詩を今も思い出す。劉邦の軍に囲まれて四面楚歌に陥った楚王項羽は、寵姫、虞美人との惜別の詩を詠んだ。この時殉死したとも伝えられる虞美人を葬った塚から生えてきた妖艶な花に、虞美人草の名が付いたという。
 この先生が出した試験問題は、60年経った今でも絶対に忘れられない。その問題というのは、「濁酒一杯 弾琴一曲 我が願い足れり」という竹林の七賢人の詩が書いてある以外何の指示もない、一問だけの試験であった。中学1年でこの問題にまともに答えられた人がいたかどうか知らないが、国語的解釈以外何も書けなかった自分も落第はしなかった。05.5.1撮影。


2. オニゲシ(ケシ属) Papaver orientale
 西南アジア原産の多年草。05.5.19撮影。


3. クサノオウ(クサノオウ属) Chelidonium majus var. asiaticum
 草の王、草の黄、瘡(くさ)の王(丹毒を治すから)など、諸説があって名の由来は明かでない。草地、石垣などに生える越年草。05.5.1撮影。


4. ヤマブキソウ(クサノオウ属) C. japonicum
 ヤマブキに似た花を咲かせるので命名された。林の中や山麓に生える多年草。05.5.2撮影。


5. ヒメハナビシソウ(ハナビシソウ属) Eschschozin caespitosa
 カリフォルニア州原産の一年草。八重で色も多彩な園芸品種が多いハナビシソウより草丈も花も小さく、色も黄色系単色の4弁。05.4.6撮影。


6. シラユキゲシ(スノーポピー) Eomecon chionantha
 春の花が終わった後も、葉が美しく秋まで鑑賞に堪える。半日陰でも育つ耐寒性多年草。05.4.15撮影。


7. シロアザミゲシ Argemone hispida
 葉がアザミに似ている。小石川植物園で5月27日撮影。


8. ハナケマンソウ(コマクサ属) Dicentra formosa
 北アメリカ西部に自生。コマクサ属の花は、ケシ科とは思えない姿をしている。事実、コマクサ属と10.で示すキケマン属などをエンゴサク科として独立させるという説もあるのだから、縁はやや遠いのだろう。05.6.24撮影。


9. ケマンソウ(華鬘草、鯛釣草)(コマクサ属) Dicentra spectabilis
 中国、朝鮮半島原産。室町時代に渡来して以来、愛培されている。竿のように伸びた花序に、10数個の面白い形の花を咲かせる。一つひとつの花はコマクサに似ている。白花もある。04.4.23撮影。


10. ムラサキケマン(キケマン属) Corydalis incisa
 日本にはキケマン属の野草が8種ほどあるようだ。花冠は筒型で、唇形に開き、他端は距になっている。この写真は薄暗い林の中で撮った。05.4.15撮影。


11. タケニグサ(タケニグサ属) Macleaya cordata
 荒れ地に、今頃花を咲かせている、背の高い目立つ多年草。名の由来について、竹のように茎が中空だからという説(竹似草)と、竹と一緒に煮ると竹が柔らかくなる(竹煮草)からという説があるが、どちらも説得的ではない。花弁はなく、2枚の萼片は開花と共に落ちてしべだけが残る。折ると黄褐色の汁が出る。有毒。05.7.8撮影。

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