Archive for 15 July 2005

15 July

花便り(63)アブラナ科8種

 アブラナ科の花、ないしは園芸植物といえば、春の菜の花や、冬花壇を彩るハボタンを思い出すだろう。キャベツ、大根、白菜、芥子菜など、野菜類は数多い。子供達に馴染みのナズナなどの野草も多い。
 しかし地味ながら園芸植物も少なくない。全世界に分布し390属3000種もあるという。4個の萼と4個の花弁を持つ両性花をつける。今回その中から8種を紹介する。
 この科の植物の中で特記すべき植物がある。シロイヌナズナ Arabidopsis thalianaである。植物体が小さい、世代時間が6週間と短い、ゲノムサイズが小さい、変異が容易に作れるという、実験植物としての適性が大きいからである。すでに日米欧の共同研究で、全ゲノムDNAの塩基配列が決定されている(2000年)。植物遺伝学の研究への貢献は計り知れない。

1. ムラサキハナナ(オオアラセイトウ・諸葛菜)(ムラサキハナナ属) Oryachophragmus violaceus
 中国原産。花壇にも植えられるが野生化している。諸葛亮が戦の行く先々で食料として蒔いたから諸葛菜と名付けられたというのは多分誤りで、実際に蒔いたのは蕪であったというのが正しいようである。
足許に 点るむらさき 諸葛菜 (草間 時彦)
05.4.9撮影。


2. スウィートアリッサム(ニワナズナ属) Lobularia maritima
 草丈10〜15cm、花の直径は1cmに満たない。毛氈花壇や花壇の縁取りなどに用いられる。白、紫、濃桃色など。04.7.14撮影。


3. オランダガラシ(クレソン)(オランダガラシ属) Nasturtium officinalis
 昨年、近所の小さな調整池に、白い小さな花がびっしり咲いていた。調べてみると、ビフテキなどのつまとして使われるクレソンで、その調整池につながる小川にも、所々に生えていた。この川の源流は湧水である。三島近くの、富士の湧水で有名な柿田川のほとりには栽培地がある。15度程度の清流を好むとされている。
 花は写真のように、十字花の特徴を示している。園芸植物としての利用もある。05.5.19撮影。


4. ワサビダイコン Armoracia rusiticana
 小石川植物園で。牧野図鑑、山渓カラー名鑑など、手元の図鑑には全く記載がなく、素性は不明。05.5.27撮影


5. ニオイアラセイトウ(ニオイアラセイトウ属) Erysimum cheiri
 南ヨーロッパ原産で、江戸時代末期に渡来。英名はWall flower。城壁、古い石壁などに生えるから。赤紫色のアラセイトウより草丈が低く、より強い芳香を放つ。05.5.9撮影。


6. エリシマム(ニオイアラセイトウ属) Erysimum perovskianum
 コーカサス、アフガニスタン原産。シベリアンウォールフラワーともいう。05.5.1撮影。


7. キバナスズシロ(ロケット) Eruca versicaria
 南欧、西アジア原産だが、いまはヨーロッパ北部にまで野生化。葉をサラダにする。05.4.6撮影。


8. コモン・キャンディタフト Iberis sempervirens
 草丈20〜40cm、株立ちする。4弁の内、2個は小さく、それを内側にして散形花序を作る。トキワナズナという別名があるが、これはアカネ科のHoustonia caeruleaに与えられた正式和名なので使うべきでない。05.3.29撮影。

17:47:12 | archivelago | | TrackBacks