花便り（１２）今年もキンランに会えた

　5月に入ってそろそろキンランが咲く頃と、去年見つけた場所に出かけた。あったあった。去年より増えて8株を確認した。ここは公園の一画ではあるが、ほとんど人の来ない雑木林の中である。そのために持ち去られることもなく生き延びたものと思われる。林の中ではこの金色はよく目立つ。
　キンランはレッドデーターブックで絶滅危惧種2類に指定されている。東京郊外のこの地では、雑木林が次々に宅地開発され、キンランやエビネなどの自生地は大幅に狭められた。


　今年嬉しかったのは、近くにある立ち入り禁止の市有地に、二輪草が群落を造っているのを見つけたことである。この市有地では、春いつ通ってもウグイスの声が聞かれたのに、昨年、市が林の下草として生い茂っていた笹を切り払ったため、去年は全く聞かれなかった。それが今年になって笹が茂り始めたらまたウグイスが戻ってきた。藪は切り払って綺麗にすればいいというものではない。笹藪はウグイスにとって絶好の営巣地なのである。市当局ももっと自然のことを勉強して欲しいものである。