Archive for June 2005

30 June

花便り(51)その後のマテバシイ

 6月16日に出した花便り40「マテバシイの花と結実への準備」から半月ほど経って、マテバシイの実の中には急速な成長を遂げているものがある。
 写真には去年の堅果が写っているが、その中には殻斗の頂上に穴が開いて、「ドングリ」の頭が覗いているのもあるし、もう相当に成長している「ドングリ」もある。腕状の殻斗だって、瓦重ね状に並んだ鱗片が見事ではないか。
 褐色のひも状のものは枯れ落ちた雄花序。この写真には写っていないが、今年の雌花序は小さな堅果をつけて突っ立っている。これは来年の秋の成熟に向けて、1年以上果実を養い続けながら雌伏の時を過ごす。

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28 June

花便り(50)バラ12選

 春のバラの季節は終わった。今年これまでに撮ったバラの写真は100枚近い。いずれ劣らぬ美しさを誇るバラ達の中からいくつかを選ぶのは難儀であるが、我が家の3種を含む12種に絞って紹介する。
 バラの花弁には普通の花と同じような丸弁と、花弁が裏側に反り返るために先端が尖る剣弁とがある。また花の中央が盛り上がったように咲く高芯咲きが多い。よそのバラの名前はわからないのが多いので写真だけになるのはやむを得ない。最初の3種は我が家のバラである。

1. テディベア
 咲いた最初の日は、名前の通りテディベアを思わせる珍しい色を示すが、一日一日色が変わっていってピンクがかった魅力のない色になって形も崩れてくる。たまたま4輪が揃って咲いた写真を示しているので、その色の変化がわかるだろう。左上が一番新しい花である。


2. カクテル
 咲き始めには中心が黄色で最も美しい。段々白に変わる。随分普及したバラである。垣根一杯に咲かせている家もあってそれもなかなか見応えがある。


3. 名前不詳の剣弁高芯咲きの赤い花。


 以下はよその花。









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27 June

花便り(49)フトモモ科4種

 科名の元となったフトモモ自身は、南九州、沖縄、八丈島に生える樹なので本州では馴染みがない。日本原産の樹は多分ない。それだけこの科の植物にはエキゾティックな印象を与えるものが多い。花糸の長いのが多い。コアラが食べるユーカリもこの科に属する。

1. ブラシノキ(ブラシノキ属) Callistemon speciosus
 オーストラリア原産。明治中期に渡来したとされるが、最近は随分普及して珍しくもなくなった。5〜6月、本年枝の先に長さ5〜10cmの穂状花序を出す。花弁や萼は開花後すぐに落ち、多数の雄しべが残り、ブラシのように見える。花糸は赤、葯は黄色。花の後には枝がさらに伸びるので、果実が枝の途中を取り巻いてつく様に見える。堅い実は2〜3年残る。5月23日撮影。


2. ハナマキ(ブラシノキ属) Callistemon citrinus
ブラシノキそっくりである。花の美しい、イヌマキ(犬槇)のような葉をした樹という意味。小石川植物園で5月27日撮影。


3. フェイジョア Acca sellowiana
 フェイジョアは旧属名。南米原産。4枚の白い花弁に、先に黄色い葯をつけた赤く長い雄しべが映えて大変美しい。果実もおいしいという。日本ではまだ広く普及しているとはいえないようである。行動範囲の中ではただ一本だけ見つかっている。6月20日撮影。


4. ギョリュウバイ(魚竜梅) Leptospermum scoparium
 オーストラリア、ニュージーランド原産。高さ5mにもなるというが、園芸店では鉢植えとしてよく売られている。5〜6月、直径1〜2cmの花を多数つける。白、紅など変異がある。一重より八重の方をよく見る。4月19日撮影。

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26 June

花便り(48)ヒメコウゾの花と実

 散歩の途中、雑木林の中で木イチゴの様な実がなっているのを見つけた。後で調べてみるとヒメコウゾ(クワ科)Broussonetia kajinokiの実であることがわかった。クワ科といえば、その実の特徴も納得できる。葉にも桑の葉のような2裂したものや3裂したものが混じっている。


 そしてその花も4月に何の花かわからぬままに撮っていた。その花を逆光で見たときの不思議な印象を覚えている。実はこの写真の中で、長い花柱を持つ花は雌花の集合体で、新枝の上部の葉腋についている。新枝の下部の球形のものが雄花であるが、逆光のためよく見えない。つまりこの樹は雌雄同株である。
ややこしいことに普通のコウゾはカジノキ Broussonetia papyriferaとヒメコウゾの雑種とされていて、学名はBroussonetia kajinoki×B. papyriferaで表される。しかもヒメコウゾの方にkazinokiが与えられている。コウゾは雑種のために、ほとんど結実しないという。

 これらの樹皮はミツマタと並んで、和紙の原料として優れていることはよく知られている。papyriferaの学名はそれで与えられたのだろう。

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25 June

花便り(47)我が家の観葉植物4種

 観葉植物というのは極めて広い植物群を表す。我が家にも十数種のそれに属する植物があるが、今日はそのうちの4種を紹介する。

1. コリウス類(シソ科)Solenostemon scutellarioides
 ジャワ原産。交配によって様々な美しい葉を持つものが作出されている。伸びすぎた茎や花茎は切り戻して姿を整える。右上のものは特にヒメコリウスと呼ばれる。この写真は寄せ植えではなく、別々の鉢を寄せたものである。


2. ソバカスソウ(キツネノマゴ科) Hypoestes phyllostachya
 葉にそばかすのような模様がある。日向で葉色がよくなる。伸びすぎたら切り戻す。


3. モミジバゼラニューム(フウロソウ科) Pelargonium Hybrids
 葉も花も美しいゼラニューム。


4. ハンゲショウ(ドクダミ科) Saururus chinesis
 ドクダミ同様、白く太い根がどこまでも横に這って増えて行く。6月になって頂上から出る葉の2〜3枚の全体または半分が白くなる。そこから片白草ともいう。その白い葉に向き合って穂状の総状花序を出し、多数の白い花をつける。花が開くに連れて花穂が立ち上がってくる。
月明かりに白がほのかに浮き出てくるのが幻想的である。半夏生(夏至から11日目)の頃に白い葉を付けるからハンゲショウという説と、半分化粧したように白いからという説とがある。

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