Archive for June 2005

29 June

今頃「談合」と騒ぐなんて

 国土交通省や道路公団発注の橋梁発注に「談合」があったとして、今大騒ぎになっている。しかし何で今頃、というのが実感である。もう何十年も、業界関係者のみならず、少しでも経済活動をした人なら誰でも、建設業界の仕事のほとんどすべてが「談合」で成り立っていることを知らない人はないだろう。
 それは道路、橋梁、トンネルに限らず、建設業界が行う仕事すべてにおいて行われていることである。しかも「官」がやる仕事だけでなく、「民」が発注する仕事もすべて談合である。筆者が民間会社で建設を発注する立場にあったときに、何とか談合をさせないように様々な対策を講じたがついに成功しなかった。それほどに強固な談合組織が出来上がっているのである。
 官や公団からの天下り人の役割も天下周知のことであろう。それなのに何故今まで手が付けられなかったのか。日本の公取委が余りにも弱体であること、業界がバブル後も雇用者を増やし続け、700万人もの雇用を維持している重要な産業であること、政官業の癒着が強固で、検察も容易には手が出せなかったということなどによるのであろう。それが世界でも突出した公共投資比率を生み、政府部門の無駄な支出を増やし、財政赤字を膨らませてきた。今回検察がどこまで本気でこの問題の取り組むのか、国民はしっかり見守っていく必要がある。
 「政治検察」という言葉がある。時の政府に都合の悪いことは捜査せず、都合のよいことだけ検察するということである。窒素ラヂカル子が今年の1月「検察の公正・公平さを疑う」という文で告発した傾向は、今でも改まっていないと思われる事例が多い。それについては稿をあらためるとして、今談合問題で検察が動き出したことの政治的な意味も考えてみる必要がある。
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21 June

「勇ましい人」に支持が集まる恐ろしさ

 6月19日の日経に載った世論調査の結果は、筆者には衝撃的であった。小泉内閣の支持率が4ポイント上昇して48%なったこともさることながら、「次の首相には誰がふさわしいか」という質問で、安部晋三氏が34%という圧倒的支持を集めたという数字である。2位以下は一桁で、与党民主党の菅直人(8%)、小沢一郎(7%)、岡田克也(6%)を遙かに引き離した。しかも民主党支持者でも24%と、岡田氏支持の19%を上回った。自民党の他の首相候補とされる「中二階」の人達への支持は5%以下である。
 これは一体何を意味するのだろうか。安倍氏は靖国参拝問題でも、「次の世代の首相も必ず参拝すべきだ」と明言している一人である。北朝鮮に対しても、一貫して小泉首相より遙かに強硬な見解を持っている。NHKの番組へ圧力をかけた張本人でもある。
 その姿勢・思想・勇ましさは石原東京都知事に共通するものがある。どちらもはっきりとものをいう。石原氏も都民の300万人から支持を受けて当選した。都民にしろ国民全体にしろ、こういう「勇ましい人」に憧れる傾向は、この所とみに強まっているように見える。言ってみれば、中韓の反日姿勢に触発されて、日本国民のナショナリズムが高揚しているということであろう。

 しかしこの傾向は極めて危険である。中韓のナショナリズムが危険であるように、日本のそれも危険である。それなのに自民党の主流は、憲法改正、教育基本法の改正でナショナリズムに拍車をかけようと目論んでいる。これでは隣国ならずとも心配になる。不思議なことに中国の反日ナショナリズム教育を非難する人達は、同じことを自分たちが日本でやろうとしている。中国がやって非難されるべきは、自分がやっても非難されるべきなのである。
 「最後は戦争」というのがかつての国の行き方であった。しかしそんなことは「戦争放棄」の憲法があろうとなかろうと、もはや不可能になっている。いわゆる強硬派の人達は、自分たちの主張の線を突き進んだとき、どうなるのかを考えているだろうか。たしかにその中のごく一部の人達は、日本も核武装をして戦争でもやればいいと思っているようである。しかし大半の人はそこまで考えているようには思えない。
 「戦争はできない」というのが大前提であるのなら、なるべく多くの国と仲良くやるのが賢明であろう。ナショナリズムの角を突き合わせていて、互いに何が得られるのだろう。毅然としなければ相手に押しまくられるだけであると考えるのだろうか。毅然としていることは大切である。しかしそれは独りよがりの主張を繰り返すことではない。自国の過去の誤りについては、率直に謝る勇気と誠意を持つことが建設的な対話の始まる大前提である。今回の日韓首脳会談の空しさはどうであろう。
 
東京裁判があろうと無かろうと、戦争責任がA級戦犯にあることは否定しようがない。しかし多くの国民とマスコミが、指導者の勇ましさに拍手を送ったことも事実である。その拍手があったればこそ指導者は暴走が可能であった。いま勇ましい発言をする人を支持することが何をもたらすかを、歴史の教訓を無にしないために今一度考えて欲しいものである。
 今年2月、「窒素ラヂカルの正論・暴論」に書いた「ヨン様・純ちゃん・自己責任 ―自由から逃れたがる人々―」を是非呼んで頂きたい。ファッシズムの土壌を作らないために。

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18 June

国連主催の茶番笑劇

 日本などG4が常任理事国入りを目指して工作を繰り広げる中、アメリカが独自の改革案を出してきた。それによると、常任理事国の増加は日本+1カ国の最小限にとどめるとしている。イラク戦争に反対したドイツは除くのだという。2カ国に絞るというのなら、GDP、ODA、国連分担金の大きさからいえば、日本とドイツが妥当な線だと思うが、アメリカに楯突く国は入れないというのである。
 町村外相は「アメリカがくせ玉を投げてきた」というが、これまでG4の結束を謳ってきたのだから、まさか米案に乗るわけにはいかないだろう。これは事実上米国の拒否権発動である。ロシアはアメリカ案に乗る様子だという。
 フランスはG4案の提案国になってもよいと表明していた。中国はドイツもインドもOKだが日本は駄目だという。まさに現常任理事国がそれぞれの思惑で、互いの案をつぶし合う形である。彼らは初めから常任理事国枠の拡大に賛成な訳がなく、何の改革も実現しないことを見通しながら、味方に付けたい国へのリップサービスに努めているに過ぎない。
 全くの茶番。初めから結果のわかっているスリラーを読まされるようなもので、見ている方は最初からしらけている。町村外相は全世界の大使を集めて発破をかけたが、無駄な税金を使ったものだ。本当に常任理事国になりたいのだったら、近隣諸国の信頼を得ることに全力を集中することが先決であろう。それとは全く逆のことをやっているのだから世話はない。向こう3軒両隣と犬猿の仲でありながら、町内会の役員になろうとする様なものである。馬鹿馬鹿しいとは思わないか。
 
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16 June

日本の航空会社はどうなってしまったのか

 この所日本の航空会社で、信じられないようなトラブルが頻発している。幸い今のところ大事故にはなっていないが、やはり会社の管理体制に大きな欠陥が生じているとしか考えられない。これは社長か会長が辞任して済む問題ではない。今の内に徹底した対策・改善を行わないと、いずれ悲惨な事故が起こるだろう。
 労働安全上、誰でも知っているハインリッヒの1:29:300の法則というのがある。死亡・重傷事故1件の陰には29件の軽傷事故があり、さらに300件のヒヤリとしたりハットしたりする、いわゆるヒヤリ・ハットが存在するというものである。
 したがって重大事故を無くすには、ヒヤリ・ハットを撲滅する安全活動が不可欠である。無災害を続ける企業では、そのような安全活動を地道に、かつ熱心に行っているものである。今のところ航空会社で起こっている事象はヒヤリ・ハット段階であるが、この段階でその原因を徹底的に究明し、その絶滅を図って行かないと大事故の発生は必至である。
 航空会社の経営は規制緩和による競争激化と、燃料価格の高騰によって厳しさを増している。そのために会社では恐らく「合理化・合理化」が合言葉になっているであろう。経費節減のために整備作業まで海外に委託していると聞く。その影響もあって、これまで蓄積されてきた安全確保のための整備技術水準の維持までもが困難になっていることはないか。整備だけでなく、パイロットや客室乗務員を含む「人間」のマネージメント体制も見直す必要があろう。
 多数の人命を預かる航空会社では、安全こそが第一で、それによる乗客からの信頼があって初めて成り立つ経営のはず。今のままではとても日本の航空会社の飛行機に乗る気がしない。
 
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03 June

今日の石原都知事の記者会見は何だ

 「泣いて馬謖を斬る」などと大時代なせりふはよいとしても、自分の責任は棚に上げて、他の副知事に責任をおっかぶせるような発言は許せない。「君側の奸」を作り、「お側用人」をのさばらせた責任はすべて長である石原知事が負うべきもので、特別職6人全員の首を取ったら片づくものではない。それを論じた新聞記事をののしり、「自分が責任を取るつもりなんか全くないね」「なんなら長野県知事のように選挙をやり直してもいいよ」とうそぶく。
 こんな人物を知事に仰ぐ東京都民は随分と馬鹿にされたものよ。何をしているのか知らないが、週に2〜3日しか登庁しないで、よく知事が務まるものだ。それを突く質問には「そんな馬鹿な質問をするんじゃない」と怒鳴る。日頃の暴言には慣れっこになってしまったが、自分の責任もとれない最低の人物に、いつまでものさばって欲しくない。
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