Archive for March 2005

31 March

ラン3種

 今我が家で咲いているランの中から3種を紹介する。(写真上から)
1.Cymbidium Half Moon 'Wanderland'
2.Dendrobium Oriental Paradise 'Aurora'
3.Lycaste 'あかね'
    (Lyc. Island of Vulcorn × Lyc. Shoalhaven)

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29 March

花便り(2)

 早春の花が次々咲いてゆく。マンサク(マンサク科マンサク属)は満開になった。近所で昨年末、満開になったトキワマンサク(白)を見た。本来4-5月に咲くものが年末に咲いて今はどうなっているのだろう。我が家のベニバナトキワマンサク(赤)も昨年末から少しずつ咲いていて、やがて満開を迎えそうである。
 
 同じマンサク科のトサミズキを前回紹介したが、その向かいの家にヒュウガミズキ(写真上)が咲いている。トサミズキが花序の長さが5cm前後、1花序の花数が7-10個なのに対して、ヒュウガミズキは花序がより短く、1花序に1-3個の花が付く。しかしまだ葉のない枝にびっしりと花が付いているのは見事である。丹後でシーボルトが発見したとされる。日向に多いわけでもないのに、なぜヒュウガの名が付いたのか? 丹後を治めた明智日向守光秀にあやかったのだともいう。非常に似た花にコウヤミズキ、キリシマミズキがある。

 写真中はサンシュユ(山茱萸)である。あちこちで満開になっている。長さ3mmほどの4花弁を持つ小さい花が、20-30個ほど集まった直径2-3cm位の散形花序を作る。これはミズキ科ミズキ属であって、同じミズキの名が付いてもマンサク科ではない。ミズキ科ミズキ属にはハナミズキ、ヤマボウシ、ミズキなどがある。近くの寺の境内に、ヒュウガミズキとサンシュユが並んで黄色を競っている。

 写真下はキブシである。民家の庭に植えられていることもあるが、近くの雑木林で何本か見かけた。まだ葉も花もない早春の林の中で咲いていると目立つが、春が深まり他の木の葉が茂ると埋もれてしまう特徴のない木である。昔女性がお歯黒に使った五倍子(ぶし)の代用にされたのでこの名があるという。また年配の方なら覚えておられるだろうが、灯明の灯心としてこの茎の芯を使った。キブシ科はヒマラヤから日本に分布する1属5-6種の小さな科である。
 
 それにしても早春の花木にはどうしてこんなに黄色い花が多いのだろう。花便り(1)と(2)は黄色い花ばかりになってしまった。この他にももう早くから咲いているオウバイ、ヒイラギナンテン、フサアカシア、ギンヨウアカシア、ぼちぼち咲き出したレンギョウやウンナンオウバイなど。クスノキ科のアオモジ、アブラチャン、ダンコウバイも3月から咲き始める黄色花である。


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21 March

花便り(1)

 今日は春3月の名にふさわしい天候であった。今朝ウグイスの初鳴きをきいた。去年より13日遅い。我が家のシロバナエニシダとアカバナトキワマンサクは冬中ぽちぽち咲き続けていたが、この所花の数が急に増えた。この冬、12月に気温が高く、その頃から花が咲き続けた植物が多かったように思う。ヒマラヤユキノシタも12月に咲いて、今は花茎が伸びきらずみすぼらしく咲いている。
 去年なぜか全く花を見なかったヒメツルニチニチソウが今日開花した。ツルニチニチソウの方はもう沢山咲いている。
 近所に一抱えもあるコブシの大木があるが、もう咲き始めた。遠目にはフサアカシア(ミモザ)と見分けにくいギンヨウアカシアが美しく咲いていた(写真上)。フサアカシアと同じくオーストラリア原産。葉の裏が銀色である。
 ジンチョウゲ科のミツマタの花も意外と美しい(写真中)。名前の通り、本年枝は必ず三又になっている。学校でコウゾ・ミツマタと並べられて和紙原料だと習った。紙幣原料は必ずミツマタの樹皮だと聞く。
 マンサク科のトサミズキ(トサミズキ属)も葉が出る前に開花する(写真下)。いつか中国黄山の近くでこれによく似た花を見た。トサミズキより花穂が長かったように思う。トサミズキ属は日本からヒマラヤ東部にかけて20数種が分布するといわれているのでその1種だったのだろう。

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16 March

我が家のラン達

 今シンビジュウムの花盛りである。すでに終わったものもあるが、1ヶ月は十分楽しめる。花の中には一日花も珍しくない中で、ランの仲間は実に長命である。花の寿命がどのように決まっているのか知らないが、恐らく植物ホルモンが関与しているのだろう。鉢で適当な期間楽しんだら、切り花にしてまた長い間鑑賞に堪える。
 ぼつぼつシンビに代わってデンドロビュウム、カトレヤ、リカステ、エピデンドラムなどが咲いてゆく。我が家の中が、1年で一番華やぐ季節である。家の外にもこれから順番に花の春が訪れる。

 「楽しみは 朝起きいでて昨日まで 
          無かりし花の 咲ける見る時」
                橘曙覧(たちばなのあけみ)

 冬至以来段々陽が部屋の奥まで差し込まないようになってくると、穏やかに晴れた日にはこのようにひなたぼっこをさせることになる。花の終わった鉢から順次、必要なら植え替えをしなければならず、花好きに春は一番忙しい。

15:14:29 | archivelago | | TrackBacks

15 March

暖かけりゃ早く花が咲くとは限らない

 1週間足らずの小旅行から帰ってきたら、我が家の庭も少し様子が変わっていた。沈丁花は満開に近く、ボケとヒイラギナンテン(写真)が咲き始め、地植えのプリムラ、屋外のヒヤシンスが咲いていた。ウメザキウツギ(利休梅)、シャクナゲ、モクレンの芽も随分大きくなった。ヒゴスミレ、ニホンサクラソウの新葉が伸び始めた。歳を取ってもやはり春は浮き浮きしてくる。
 
桜開花予想も出始め、やがて春爛漫、花の饗宴が始まる。最近は桜前線に異常が見られるという。開花時期の南北逆転がしばしば見られる。温暖化の影響が語られるが、開花現象の生理から見れば不思議ではない。
 春に開花する植物の花芽の多くは、夏の終わりに形成されたのち休眠する。それが一定の寒さの刺激によって目を覚ます。これを休眠打破という。一旦休眠打破された花芽は、暖かければ暖かい程早く開花する。ところが通常なら休眠打破が行われるはずの時期に暖かいと、いつまでも眠ったままである。桜の場合には12月がその時期であるが、昨年末暖かだったので、休眠打破が遅れた可能性がある。そうなると開花時期は遅れる。
 そのため南国鹿児島の桜が、豪雪地より遅く咲くという現象も起こる。奄美大島のソメイヨシノは5月頃に開花するという。これは北海道南部と同じ時期である。桜の開花の予想が難しいのはこのためである。

 植物の休眠は花芽だけではない。種子・塊根・鱗茎・球茎などでも起こる。これらの休眠は発芽に影響するので、地球温暖化が野生植物に及ぼす悪影響が懸念される。

 温度は花芽形成や花茎伸長にも影響する。デンドロビュウムの花芽形成は10度前後の低温に20日程曝されて促進されることが知られている。従って秋に余り早く室内に取り込むとかえって花の付きが悪くなる。クンシランの花茎は低温に曝さないと伸びにくく、早く室内に取り込んだものは花茎が伸びず、葉の間で咲くことになるという。

 最近の生物学の進歩は急速であるが、休眠、休眠打破の分子機構についてはどの程度わかっているのだろうか。きっと驚異的なメカニズムがあるに違いない。花も美しいが、生物の分子機構もそれに劣らず美しく精緻なのが普通だから。誰か教えてくれませんか。

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