Archive for February 2005

23 February

確定申告

 今確定申告の時期である。年金生活にはいり、年金額が税法で認められた控除額を超えると申告が必要になる。サラリーマン時代には全く人任せであった人も、ややこしい税金の計算に頭や時間を取られることになる。
 昨年までは申告書作成に、税務署から送られてくる手引き書と首っ引きで取り組んだ。たまたま年金以外の収入があったりするとそれだけでは足りず、インターネット上の解説をプリントして悪銭苦闘しなければならなかった。所が今年はインタネット上で、国税庁の申告用紙に数字を打ち込む方法を初めて使ってみた。あれよあれよという間に、申告書が出来上がり、これを印刷するともうできあがりである。収入の種類の違いによる税法上の扱いの違いなど、何も知らなくても、しかるべき所に数字を打ち込んでいくだけで自動的に申告書が出来上がるのだから実に有り難い。
 結果は去年より課税所得が24万円以上減ったのに、税額は4万円余り増えて、ばっちり増税の痛みを感じることができた。これは配偶者特別控除がなくなった影響が大きい。
 日本人は納税にも税金の使い道にも関心が薄いといわれる。それもサラリーマンの源泉徴収制度という、世界に余り例のない制度によるところが大きいらしい。確かにサラリーマンは税金や社会保険料などを差し引かれることは当たり前で、自分の収入を「手取り」で考える習慣が付いてしまっている。この制度は企業に事務負担を押しつけられるので、税金を取る側には実に都合がよいことであるが、納税者から見れば税金の痛みやその使われ方への関心を薄めてしまう。
 折角国税局がネット申告ができるようにしてくれたのだから、サラリーマンも確定申告をするように制度改正をすべき時が来ている。サラリーマンと呼べる程の人ならば、いまやパソコンやインターネットを利用しない人はないであろうから、障害は余りない。少なくとも源泉徴収・年末調整と、確定申告のどちらかを選択するようにすれば、税に対する関心をもっと高められるはずである。
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20 February

タイタンに地球外生物の可能性はあるか

 最近土星の惑星の一つタイタンに、探査機ホイヘンスが着陸して、見事な映像を送ってきた。そこには液体が流れたような地形があって、液体のメタンの雨が降り、海があるのではないかといわれている。そのことから生物がいる、あるいはいた可能性が取りざたされている。
 しかしその期待に水をかけるようであるが、可能性はゼロである。温度の低さもさることながら、液体の水が存在しないからである。生物に水が必要というのは、地球上の生物の常識にとらわれているからで、全く性格の違った生物がいてもおかしくないと思う人がいるかも知れない。
 しかし生物に水が必要ということは、マクロの生物体に水が要るということを超えて、ミクロの生命現象自体が、極めて特殊な液体である「水」なしには起こりえないのである。化学または生化学の専門家以外の人にそれを説明することは簡単ではないが、あえて多少の正確さを犠牲にして説明を試みよう。
 水の中に小さな油滴が二つあるとしよう。この油滴は二つに分かれているよりは一つになろうとする傾向を持っている。なぜなら一つになった方がエネルギー的に安定だからである。その原因が実は水にあるのである。水は固体(氷)ではダイヤモンドによく似た結晶構造を持っている。だから雪の結晶は正六角形である。ただダイヤモンドが炭素と炭素との間の強固な結合で繋がっているのに対して、H2Oの分子式を持つ水の結晶では、水素原子を仲立ちとして酸素原子と酸素原子が繋がり、その結合は弱いもので容易に切れたり繋がったりしている。(この結合を水素結合という)だから温度が0度を超えると液体になり、手をつないだ沢山の子供が動き回って、手を離したり繋がったりを繰り返すような状態になる。それでも不完全な網目構造はなくならない。
 このような液体の水の中に油滴が入ると、油滴の周りの水の構造が変化する。そしてその構造変化によるエネルギーが、油滴が二つの時より一つの時の方が低いのである。
 油滴に代わってもっと小さな「疎水性」の分子を考えても同じことである。だから疎水性の分子は、水の中では一つにまとまろうとする。実はこの性質が生物現象の基礎である。このように水が油滴に働きかける力を「疎水結合」といっている。
 すなわち生物体内での何万という化学反応を触媒している酵素とその反応を受ける物質(分子)との結合、神経伝達における受容体と化学伝達物質との結合、ホルモン受容体とホルモンとの結合で、その第一段階で働くのはこの「疎水結合」という力である。また独立した生活ができる生物には、必ず細胞膜という仕切りが存在する。膜を構成しているのは脂質、すなわち一種の界面活性を持った油である。その脂質は水の中で自動的に閉じた球体を作る。これを作る力も「疎水結合」である。すなわち生物が生物としての形や機能を持ちうるのは「疎水結合」のお陰なのである。
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