Archive for 06 April 2005
06 April
花便り(5)
開花はまだか、咲いた咲いた、今日満開だ、とテレビが騒ぎ立てると、へそ曲がりは「何も桜だけが花ではあるめえ」と言いたくなる。「お前は桜とチュウリップくらいしか名前を知らないだろう」と皮肉りたくもなる。地味なら地味なりに、小さければ小さいなりに、どの花も魅力を湛えているし、自然の驚異をたっぷりと隠している。今日の最初(写真上)はアブラチャンという面白い名前を持った「ちゃち」な花だ。虫眼鏡で見ないと花びらもしべもよくわからないくらい小さい。クスノキ科の落葉低木。葉が出ないうちに、花被片の長さ僅か2mmくらいの小さい花が3〜5個集まって咲く。秋に実る種子は1.4cm位もある。その種子や樹皮から油がとれる。その油、瀝青をチャンと呼ぶ。アブラチャンの名前の由来だ。
クスノキ科にはショウノウのようなテルペン類、即ちあぶらを含むものが多い。クスノキ、月桂樹、クロモジなど。
次はぐっと派手になってサラサモクレン(写真中)。シモクレンとハクモクレンの雑種。サラサドウダン、サラサウツギのように、紅白の混じった花にサラサをつける。サラサモクレンの花も上は白、下は赤が勝り、内側は白、外側は紅。全体としてとても美しい。その色合いは品種によって異なる。この花については19世紀から記録があるらしい。
写真下はカンヒザクラ(寒緋桜、Prunus campanulata)。campanula、即ち釣り鐘状の花である。沖縄では1月から開花するので有名。東京などではソメイヨシノより10日程早く開花するようだ。桜は散りぎわを賞せられてきたが、カンヒザクラは花全体がぽとりと落ちる。
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