Archive for 19 September 2005

19 September

変節議員に投じられた票は?

 郵政民営化に反対し無所属で戦って当選した議員が、相次いで法案賛成の表明をしている。佐賀2区の今村雅弘議員と3区の保利耕輔議員、岐阜5区の古屋圭司議員、鹿児島5区の森山裕議員、山梨3区の保坂武議員が郵政法案賛成に転じるという。白旗を掲げて自民党からの除名処分を避けようということらしい。これは実にあきれ果てた行為である。これらの候補者に投じた票は何だったのか。
 
 不当なこととはいえ、「郵政民営化」が争点とされた選挙で、民営化反対を旗印にして戦ったくせに、選挙から数日しか経っていないのに全く逆の意思表示をするとは、驚きを通して怒りを禁じ得ない。自己の保身のために、選挙の持つ意味を全く消滅させる行為だからである。選挙民の意思は全く踏みにじられることになる。民主主義が根底から覆される。これは郵政民営化に賛成か反対かに関係なく、強く非難されるべきことである。地元でこれがどう受け止められているか情報がないのでわからない。これに非難の声が上がらないとしたら異常である。
 与党圧勝で、反対しても仕方がないというのかも知れないが、それは言い訳にもならない。もし数だけがすべてであるなら、選挙で議席配分が決まった段階ですべてが終わり、「議する会」という議会の意味がなくなってしまう。郵政法案に反対したのだから、その法案に対して自分の考えや信念があったはずである。議会でその考えを堂々と開陳して、提案された法案の問題点を指摘すべきである。たとえ議決の結果、自分の意見が通らなかったとしても、その問題点指摘は、法案成立後の実施の段階での配慮に結びつくかも知れないし、記録に残った意見が、後世卓見だったという評価を受ける可能性だってある。

 同様に参院側でも「変節議員」が見られる。選挙期間中に、与党が過半数なら民意を尊重して賛成に回ると表明した鴻池祥肇参院議員がいる。選挙後、法案に反対票を投じた中曽根弘文議員ら20人と欠席・棄権8人の内、12人が一転して法案に賛成を投じるという。これも「国民の意思を重く受け止め尊重したい」という説明である。選挙前に言っていた「(小泉首相の解散をちらつかせた脅しは)再考の府とも言われる参院の自由な審議権や独自性を無視し侵害するものであり、二院制を形骸化させる」という正論はどこへ行ったのか。衆院選の結果で、参議院議員が自らの信念を捨てるのであれば、参議院は要らない。実際衆議院で与党が三分の二を獲得して、参院の重みはなくなってしまった。
 
 これらの議員は、単に自分の支持者が反対だから、票をもらうために、郵政法案の善し悪しには関係なく自分の行動を決めたのだろうか。口だけで立派なことを言っても、今後これらの議員の言葉は誰からも信用されないだろう。説明責任も果たさず、自民党への未練だけで、軽々と変節する。こういう時の出処進退こそ、その人物の真贋が明らかになる。
 
 
 
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